オーエンスレーガー賞のルーツと加硫の仕組み
ノーベル賞然り、プリーストリー賞(ACSが授与する最高賞)然り、何かしらの卓越した業績や優秀な成果を上げた際に人名を冠した賞を授与するというのは見慣れているとはいえ、最早その名前が人名であることも知らない人が身近にいたことにびっくりしました。
それぞれ偉業のルーツがあるので、知っておいた方がいいというのは言うまでもない。まぁ僕は全然知らないですけど。
今回はたまたま見かけた「オーエンスレーガー賞」…のルーツについてちょっとだけ話そうかと。見覚えある名前でしたので。
G.Oenslager(1873-1956)は化学者であり、ダイヤモンドゴム社に入社後、ゴムの加硫促進剤(アニリン)を発見した人物として知られているかと思います。
加硫に必要なのは架橋剤である硫黄だけでは反応は遅く(今は過酸化物やキノンジオキシム系もありますが)、加熱しても10時間はかかるといわれていました。そのため加硫反応を促す配合剤が必要だったんですよね。
当初は金属酸化物が主体でしたが、それでも反応は遅く、金属イオンによる劣化の問題もありました(亜鉛とかはポリマーのしゃく解作用もありますし。それがマイナスになるとは限りませんが)。
そんな中で20世紀ごろ、無貴金属塩の加硫促進作用は塩基性によるものとオーエンスレーガーさんは考えて、有機塩基としてアニリンを試みました。
結果、飛躍的な促進効果が見られたんですよね。ただ、液体の上に人体に毒性があったので、後に固体のジフェニルチオ尿素が採用されましたが。そこから有機加硫促進剤の開発競争が激化しました。20世紀頭なので、その時期にタイヤはじめ、車の需要が高まった頃かと思います。フォードT車の発売が1908年でしたので、そこからタイヤゴムも発展していったのでしょう。
ちなみに酸化亜鉛も有機促進剤の効果をさらに高めることを認めています。とまぁ、加硫技術の礎を据えた人物でありました。本当に感謝しかありません。それのおかげで200℃にも満たない温度で数分で加硫できるのですから。
今では多様な加硫促進剤が開発されていて、その代表例としてMBZこと2-メルカプトベンゾチアゾールがあります。これが配合している酸化亜鉛と反応し、次いでゴムと反応、亜鉛イオンによる金属配位を起こしては架橋と架橋前駆体を形成するって流れです。その反応スキーム描きたいのですがめんどくさいですし、どうやって図として載せればいいのかわからないので文字だけにします。
ただ加硫促進も早ければいいってものではなく、適度な速度が求められます。そういう意味では勝手の良さを含め、スルフェンアミド系(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドとか)が実際によく使われています。
あれ、何の話をしてたんでしたっけ。人物の話のつもりが化合物のはなしになっていました笑(そういうとこやぞ)
では、ちょっと熱が入ってしまいましたが、これにて終わりにしたいと思います。化学関係の話をするなら、もうちょっとしっかりした説明をすればよかったなと反省してますが5分後に忘れるので次回もこんな感じで適当に話すことでしょう。
それでは!